過去の他者性について

出身地には旧い街道が通っており、そこに住んでいた頃は、時折遠回りになるその道を選んで帰ることがあった。職業(?)柄、あるいは元からの性分として古いものを見たり眺めたりするのは好きで、その街道の道幅の狭さや形、所々に残る屋敷が醸す近世風の趣…

テンポ正しく生存しましょう

愛するものが死んだ時には、 自殺しなきゃあなりません。 愛するものが死んだ時には、 それより他に、方法がない。 と書いたのは昭和戦前期の詩人中原中也で、「春日狂想」という詩の中でのことだ。中原中也なんていう詩人は、「どんな音楽聴くの?」「ビー…

終末世界の気分について

大体くだらない文章を書きたくなるのは眠れないときで、それも単純に生活リズムが狂っているせいで大して疲れてはいないときだ。そういったときは、概ね適度に気分が沈んで適度に頭が働き、けれどもその向く先は全く余分(余分とはなんぞや?)なことである…

“いい話”がきらいだ

“いい話”がきらいだ。ここで言う“いい話”とは例えば家族の大切さとか、友情の尊さとか、もしくは「学生の頃~~~があって今では私の嫁です」とか、老人を労わる話とかそういう類のもの全部だ。これがきらいだ。と言えば、人として何か大事なものを欠いてい…

思想というものが少しわかってきた(気がする)

思想というものが少しわかってきた(気がする)。というのは、情報として「思想とはこれこれこんなものである」ということを知ったというのとは違って、「上手く説明できないけどベースというのはこういう風に弾ける」みたいなもっと身体的というか、まさし…

Creamはいいぞ

Creamの話をしよう。60年代のバンドのアレである。恐らく世間的にこのバンドを紹介する文言としては、「かの有名なギタリスト、エリッククラプトンが…」という風な書き出しになることは恐らく間違いない。今は電車で家に帰る途中で、駅の本屋でクラプトン特…

健全な、あまりにも健全な

「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉がある。ふとこれを思い出して、「文言はこれであってたっけ?」と思ったのでググッてWikipediaのページを見ていたらこんなことが書いてあった。 近世になって世界規模の大戦が始まると状況は一変する。ナチス・…

外に在る「伝統」―岡本太郎『日本の伝統』―

こんちきちん。今回はこの小早川紗枝はんの楽曲の話から始めたい。※動画を貼り付けていたのだが消されてしまった(残当)。適当にどうにかして「花簪」という曲を聴いてからお読みいただきたい。本題とは関係ないけれど、デレマスの曲はどれもいいですね。コ…

平沢進論(2)―「みなしご志願」の平沢進―

前回の「平沢進論(1)」ではどうやら彼の歌詞には” 〈本来のものが現れる〉/〈既存のマヤカシが消える〉”の類型があるらしいという話をした。今回はこれの続きとして、〈既存のマヤカシ〉(=ホログラム)の中身について考えてみたい。 ここでわりとあり…

筆遊び:内宇宙的恐怖、あるいは対内宇宙恐怖症

ふと思い出したのだが、子供の頃、定期的に天体観測所(?)に連れて行かれた時期があった。文明史的立場から区分すればあれはまだ20世紀に属する時代のことで、日本現代史的立場から区分するならば、まだ一億総中流時代の端っこであったと言えるだろう。ご…

平沢進論(1)―〈本来のものが現れる〉/〈既存のマヤカシが消える〉の歌詞類型―

平沢進について話してみたい。平沢進というミュージシャンは、かなり語り口に困るキャラクターを持っている。彼はいわゆるテクノ御三家の一つであったP-MODELの…といった説明はウィキペディアに任せるとしても、彼が音楽において何を表現しており、その元に…

島村卯月はなぜ制服でS(mile)ING!したのか?【デレマス24話について真面目に考える】

アイドルマスターシンデレラガールズ24話(二期11話)の話がしたい。このアニメを最初から観ていた人なら多分ほとんどの人が同意する所だと思うけれど、この24話のラストは感動的だった。ここに至る二、三話でハラハラさせておいて最後の最後でようやく安心…

”説明する”ことと”説明しない”こと

”説明する”ことと”説明しない”ことについて考えてみたい。特にここで述べたいのは、”説明しない”ことの方だ。説明―それは大体の場合、自分の考えや立場の表明と不可分であると思うけれど―というのは、概ね世の中で推奨されたり強制されたりするものだと言っ…

はじめに

ここで書く文章は、あまり人に見せるつもりがない。わざわざブログのサービスを使ってインターネット上に公開しているのだから、そんなことを言い出すのは矛盾している。 けれども、人に見せないであろう日記帳なんかにわざわざ「これは人に見せません」なん…